作文コンクール 
くらしの文集

 

6年生の作品

6年生  特選

たてわりそうじリーダー

阿賀小 六年 岡 本 航之介

 たてわりそうじとは、毎週月曜日、水曜日、金曜日に、一年生から六年生のメンバーから成る、たてわり班で行う、そうじのことだ。毎年行っているこのたてわりそうじだが、今年は今までとは大きく違うことがあった。それは、ぼく達六年生がリーダーとして行うということだ。(不安だ。ぼくが、一年生から五年生までをうまくまとめられるかな。)そんなことを思いながら、たてわりそうじの日がやってきた。
 初めの日は、まず一年生をよびに行った。一年生はおとなしそうだ。(これならうまくまとめられるかもしれない。)と思った。
 少し気持ちが楽になったところで、二年生から五年生までのたてわり班のメンバーがそろった。(どうしよう。とてもさわがしいぞ。こんなの上手くまとめられない。)ぼくはそう強く思った。注意をしてもなかなか聞いてくれない。(この班は本当に大じょうぶかな。)そう思いながら、たてわりそうじを始める号令をかけた。
「これからたてわりそうじを始めます。」
「出席を取ります。」
 初めての出席確にんもそうじ場所や担当の発表も、なかなか上手くできず、そうじが始まる前から心が折れそうだった。(大じょうぶかな。本当に自分がこの子達をまとめることはできるのかな。そうじが始まったらもっと大変なんじゃないかな。)この予想は的中してしまった。
 そうじが始まると、ほうきを持って遊ぶ子、突然大きな声を出す子、中には、追いかけっこを始める子までいた。(もうこの班はいやだ。)そんなことを思いながら、長い長いそうじの時間がようやく終わった。
 六年生の教室に帰ると、クラスのみんながたてわりそうじのことを話していた。
「俺の班、一年生が言うことを聞いてくれなくて。」
「みんながきれいにならんでくれなくて大変だよ。」
「おれたちも大変だったよ。」
(ぼくだけじゃなかったんだ。それなら次からはもっとがんばるぞ。)クラスの友達の話を聞いて勇気づけられた。その後、担任の先生も話を聞いてくれた。
 担当の先生が、五年生に対して六年生のサポートをするように言ってくれて、少しずつ五年生がしっかりしてくれるようになってきた。(よし、あとは、二年生から四年生をまとめるだけだ。)
 このとき、(今までリーダーとして班をまとめていた先ぱい達はすごかったんだな。ぼくも、先ぱい達のようになりたい。)と思うとともに、リーダーの大変さや責任の重さに気付くことができた。
 先ぱい達のやっていた注意の仕方を思い出すと、ときには厳しく言ったり、何回か言って聞かないときは、お手本となるように、だまってそうじをしたりしていた。ぼくは、(先ぱい達の注意の仕方も取り入れてみよう。)と思った。
 五年生には、自分からも、六年生のサポートをしてくれるようにお願いをした。それでも班をまとめることが難しいときには、担当の先生にも注意してもらった。ぼくも、リーダーとしての自覚をもって注意をしたり、注意を聞いてくれなかったら注意の仕方を変えるなど工夫したりした。あきらめたくなったときは、(最初に比べれば、この班はずいぶん静かになった。)と言い聞かせ、自分が始めに思い描いたたてわり班を目指してがんばった。(どんな班でもまとめる人がうまければきっと…。)そう思いながらがんばった。
 すると、少しずつではあるが、がんばりが実を結び、最初に比べるとずいぶんと静かに、そうじができるようになった。
 たてわりそうじがスタートして一ヶ月ほどして、一年生と仲良くなろう集会の中で、たてわり班で遊ぶ時間があった。そのときには、一年生から六年生までみんなで盛り上がってとても楽しかった。たてわり班がとても仲のいい班であることがうれしかった。(そうじも上手にできるようになればもっとうれしいな。)と思ったと同時に、(自分がこれまでやってきたことは間違っていなかったんだ。班はちゃんとまとまっている。)と思った。
 最初は、注意することが多かった子も少しずつ落ち着いてそうじをすることができている。もっともっとそうじががんばれるたてわり班を目指していけると思う。
 ぼくは、たてわりそうじを通して、色々なことを考えることができた。違う学年の子との関わり方、リーダーの本当の意味、協力することの大切さ、あきらめないで工夫をし続ける大切さなどだ。この学びは、ふだんの生活でも生かしていきたいと思っている。

六年生のたてわりそうじリーダーとして、縦割班のメンバーをまとめる奮闘が描かれている作品です。構成は、課題・取組・気づき・結果となっていて、日々の生活で見つけた課題を解決するためにいろいろな方法を試し、これまでの先輩たちの姿を思い出しながらまた違う方法を試す姿は、読みながら応援したくなりました。その結果として、少しずつ落ち着いて掃除ができるようになっていることも分かり、縦割班、何より岡本さんが成長していく様子がよく伝わる構成がすばらしいです。リーダーは大変ですが、岡本さんなら楽しい縦割班を作れると信じています。

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