作文コンクール 
くらしの文集

 

6年生の作品

6年生  「小さな親切」運動賞

よかったらお手伝いしましょうか

横路小 六年 石 崎 寧乃璃

「よかったらお手伝いしましょうか。」
とお母さんの声。
 私とお母さんは買い物の帰り、道ばたで車いすを後ろ向きでこいでいるおばあさんを見かけた。そんなおばあさんの様子を見て、お母さんは私に、
「ちょっと行ってくるね。」
と言っておばあさんの所に行った。そして、お母さんはおばあさんに、
「よかったらお手伝いしましょうか。」
と言った。
 私はお母さんが知らない人に声をかけたことにおどろいた。おばあさんの車いすをおしている時、二人は楽しそうに話をしていた。私は、(よく知らない人とそんなに楽しそうに話ができるな。)と思いながらも二人の会話を聞きながら歩いた。おばあさんの目的地に着くと、おばあさんは、
「ありがとうございました。」
と丁寧にお母さんにお礼を言った。お母さんの顔を見るととてもうれしそうだった。
 私は、お母さんの行動を不思議に思い、おばあさんを助けた理由を聞いてみた。
「なんでさっき知らない人を助けたの。」
するとお母さんは、
「おばあさんは、大変そうだったし、車いすを後ろ向きでこいでいたでしょ。何か理由があるはず。お母さんは少しでも力になりたいと思ったの。」
とやさしい口調で私に教えてくれた。私はこんな行動ができるお母さんはすごいと思った。
 私は、困っている人を見かけても助けることができない。なぜなら知らない人に声をかけるのはものすごく勇気がいるから。私の頭の中に知らない人に声をかけるということは無いと言ってもおかしくはない。でも今、お母さんの行動を見て私ははっとした。(おばあさんは、車いすを後ろ向きでこいでいたし、自分一人ではこぐのが難しかったのかもしれない。お母さんが助けたことによっておばあさんは救われたんじゃないか。)私は、やはりお母さんが言ったように少しでも人の力になりたいと思った。
 このことをきっかけに私の意識が変わった。私は、困っている人を見かけたら、たとえ知らない人でも勇気を出して声をかけてみようと思った。
 何日かたったある日、私は学校の帰り道に知らない女の人が、大荷物を自転車に積もうとしている場面を見かけた。けれど、とても積めそうにない。大きな布団三枚とダンボール一個を積もうとしていたから。私は助けようと思ったけれど、いざこの場に立つととてもきんちょうしていた。自分の心臓の音で周りの音や人の声が聞こえないぐらいだ。でも、私は人の力に少しでもなりたいと心に決めていたから、この場を簡単に見過ごすことはできなかった。だから私は深呼吸をして、
「よかったらお手伝いしましょうか。」
と勇気をふりしぼって言った。
 女の人はにっこり笑って、
「ありがとう。」
と言ってくれた。
 私は知らない人に声をかけることができ、心の中で(やった。私でも声がかけられたんだ。)とそっとつぶやいた。私は女の人と一緒に荷物を自転車に積み、積みきれなかったダンボールは私が持ち、自転車は女の人がおして歩くことになった。気が付くとあのうるさかった心臓の音もおさまっていた。
 家に帰ってお母さんに今日あった出来事を話すと、
「よくがんばったね。成長した証拠よ。」
とほめてくれた。私がこのような姿になれたのは、あの時お母さんがおばあさんを助けたからだ。お母さんが私を変えるきっかけをくれた。だから私はその気持ちもこめてお母さんに、
「ありがとう。」
と感謝を伝えた。お母さんは、今までにないような笑顔を私に向けてくれた。
 私は、このことを通して分かったことがある。それは困っている人、知らない人でも勇気をふりしぼって声をかけることの大切さだ。そんな姿になれるきっかけは、いつか必ず誰かがくれると思う。相手に思いやりをもって行動する、それが一番のやさしさだ。
 私もこれから知らない人が困っている場面を見るだろう。その時は、自分の行動を見て私のように変われるきっかけをつくりたいと思っている。今まで声をかけられなかった分までこれから知らない人にでもかけていきたい。
「よかったらお手伝いしましょうか。」

お母さんが困っている人を手助けする様子を通して、石崎さんも人を助けようとする思いやりのバトンをしっかり受け継いでいることが、とても丁寧に書かれています。
 また、石崎さんが知らない人に声をかける時の緊張感や、手助けをやりとげることができた達成感が細かく表現されており、読んでいる側にもその様子がはっきりと伝わってきました。
「よかったらお手伝いしましょうか。」
という言葉を軸に、親子でつながった勇気とあたたかい心のバトンが、これからは、もっとたくさんの人につながっていくことでしょう。

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