作文コンクール 
くらしの文集

 

5年生の作品

5年生  もみじ銀行賞

手作りべんとう

横路小 五年 今 田 花 歩

「いただきます。」
 習字教室のお昼の時間になると、わたしは友達と一しょにおべんとうを食べる。今日のおかずは、ゆかりのふりかけご飯、ほうれん草のおひたし、玉子焼き、そしてわたしの大好物、さつまいもの天ぷらだ。
 わたしのおべんとうのおかずは、お母さんが一つ一つ全て、手作りで作ってくれている。わたしはお母さんの手作りべんとうが大好きだ。だけど、自分のおべんとうを食べながら、友達のおべんとうをちらりと横目で見てしまう。
(いいなあ。冷とう食品のおかず、食べてみたいな。)
 わたしは、冷とう食品のおかずを食べたことがない。いったいどんな味がするんだろう。わたしは、友達に聞いてみた。
「冷とう食品って、どんな味がするの。」
 友達はびっくりした様子で、答えた。
「ううん、ふつうかな。まずいわけでもないし、特別おいしいわけでもないよ。」
 それってどんな味なんだろう。わたしは、ますます冷とう食品を食べてみたくなった。
 次の習字教室の日にも、おべんとうがいる。お母さんはいつものように、手作りおかずのおべんとうを作ってくれるのだろう。わたしはお母さんに正直に話すことにした。
「お母さん、わたし、友達が食べている、冷とう食品のおべんとう、食べてみたい。」
 わたしがそう言った後、一しゅん時間が止まったように感じた。
「せっかく作ってるのに。」
と言われたらどうしよう。むねがバクバクする。でも、お母さんは、にこっと笑って答えてくれた。
「いいよ。冷とう食品を入れてみようね。」
 わたしはうれしくなって、お母さんに質問した。
「お母さんは、冷とう食品のおべんとう食べたことあるの。」
 するとお母さんは、
「うん、あるよ。お母さんが子どものころは、ずっと冷とう食品がおべんとうに入ってたよ。本当はあまり入れてほしくなかったけどね。」
 わたしは、どうしてお母さんが冷とう食品を入れたくないのかを聞きたかったけれど、やめておいた。今はそれより、早く冷とう食品を食べてみたいという気持ちだった。
 次の日、お母さんと一しょに冷とう食品を買いに行った。お店にはたくさんの冷とう食品がならんでいた。種類が多くあってまよったけれど、結局パスタの冷とう食品に決まった。お会計にならんで、わたしの選んだ冷とう食品が「ピッ」とレジを通った。みんなに見せたら、なんて言うかな。想像すると、とてもわくわくした。
 ついに冷とう食品のおべんとうデビューの日になった。
「いただきます。」
 わたしは、わくわくしながらおべんとうのふたを開けた。おべんとうの中のパスタが、かがやいて見えた。他の友達と「おべんとう仲間」になった気がして、とてもうれしかった。いよいよ最後に残しておいたパスタを食べた。
(おいしい。けど、何かちがう気がする。)
 やっと念願の冷とう食品を食べられたのに、このもやもやする気持ちは何だろう。
 その時、わたしは、ふと思い出した。そういえば、習字の先生が、
「印刷した文字より、手書きをした文字の方が、想いが伝わるんだよ。」
と言っていた。
 その時、わたしは、やっと気がついた。
(そうか。お母さんがいつも気持ちをこめて手作りしてくれているおべんとうだから、その想いが伝わっていたんだ。)
 何でわたしは、冷とう食品がいいなんて言ったんだろう。わたしは、不安な気持ちでいっぱいになった。
 家に帰るとすぐに、お母さんのところに行って伝えた。
「やっぱり冷とう食品じゃなくて、お母さんの『手作り』のおべんとうがいい。」
 お母さんは、それを聞くと、笑顔でわたしのおべんとう箱をあらってくれた。
 習字教室のお昼の時間になった。わたしのおべんとうのおかずは、お母さんが一つ一つ全て、手作りで作ってくれている。その中には、冷とう食品なんて一つも入っていない。だから、わたしはお母さんの手作りべんとうが大好きだ。
「いただきます。」
 おべんとうのふたを開けると、中のおかずが、きらきらかがやいて見えた。

自分のお弁当はすべて母の手作り。でも冷凍食品のおかずってどんな味がするんだろう。今田さんの素直な興味と、その思いを母に伝える迷い、そして冷凍食品のお弁当デビューのわくわく感がテンポよく描いてあり、一気に読み進めました。
 またあまり多くは語らないお母さんとの様子を、「一しゅん時が止まった」「笑顔でおべんとう箱をあらってくれた」のように読者に気持ちを想像させる表現はすばらしいです。
 今回作文で表現することで改めて手作り、手書きの価値に気がついたように、これからも自分にわいてきた思いを豊かに言葉にしてみてくださいね。

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