作文コンクール 
くらしの文集

 

4年生の作品

4年生  特選

笑顔をつないで

横路小 四年 礒 貝 紗 衣

「おはようございます。」
 今日も地いきの人が、学校の近くの交差点がある橋の上で交通当番の旗ふりをしてくれています。
 私は、(毎日来てくださっているけど、別に毎日やらなくてもいいんじゃない。仕事だからかな。)と思っていました。
 最近は、信号が赤から青になるのを待つ間にあいさつをした後で、
「ホットするケーキはなんだ。」
などとクイズを出してくれます。
「ホットケーキ。」
と言って正かいすると
「お見事。」
などと言って、地いきの人がみんなを楽しい気分にしてくれています。とっても楽しいです。当たった時は顔には出さないけど、心の中で(よっしゃあ。当たった。)と、明るい気持ちになれます。
 でも、もし私が旗ふりをするとしても、毎日するのは大変なのでやりません。それで、毎日どうしてそこまでするのか、気になっていました。
 次の日の朝、私はお母さんにしかられて、スッキリせず、どんよりとした気持ちで、学校に行っていました。そこで、地いきの人がこの日もいらっしゃって、私はいやな思いをふりはらうためにも、がんばって大きな声で、
「おはようございます。」
と言いました。すると、
「おはようございます。大きな声でいいですね。」
と言ってもらえたので、とてもうれしくなりました。そして信号機が青になったら、
「行ってらっしゃい。」
と言ってくれました。私にとっては、とっても心がこもっていて、心の中や体がほんわかしてきて、気持ちが温かくなりました。私も思わず、
「行ってきます。」
と元気な声で言いました。すると、(あれっ気持ちがすっきりして楽しいし、うれしい。)まるで大好物のチョコレートを食べているときのような気分です。今朝、母さんにしかられたことなんか、もうすっからかんになっていました。いつも言ってもらっている言葉なのに、何かがちがうのです。いつも聞いている言葉でも、今では、ほのおや太陽のように、温かくなっています。それで(なぜだろう。)となやみました。でも、その一言で、私は学校が楽しみになってきました。
「よおし。」
 その日は、学校に、楽しく、うれしく行けました。
 それから数日が過ぎて、そう合的な学習の時間に地いきの人と話す会がありました。そこに、私を元気にしてくれた地いきの方が来てくださっていました。そこで初めて旗ふりは仕事ではなくてボランティアでしているということが分かりました。
(私達の交通安全のために、自主的にしているんだ。すごい。)
と本当に感心しました。何でしているのかという質問に対しては、子ども達の笑顔が見たいからということでした。
 私は、この間から、ぎ問に思っていたことが、サッと消えました。あの地いきの方が、私たちの笑顔を見たいという気持ちから、私のさえなかった気持ちを明るくしてくれたのだということが分かったのです。
 それからは、私は旗をふっている人を見たら、自分から、
「おはようございます。」
と元気に言います。地いきのみなさんは、こうやって子ども達の笑顔がたえない日を作ってくれているのです。私もあこがれの地いきの方と同じように、あいさつで笑顔をつないで、たくさんの人達を笑顔にしたいです。

毎朝、地域の方があいさつをしてくださることで交通安全だけでなく心が明るくなる。地域の方に元気付けられる礒貝さんの心の成長がよく伝わってくる作品です。
 自分からあいさつをしたときや、毎朝あいさつをしてくださる地域の方の思いを知ったときの気持ちが、豊かな心情表現や心内語を用いて書かれています。
 経験を通して得た「あいさつで笑顔をつなぐ」という礒貝さんの言葉にあるように、たくさんの人達の笑顔が、地域に広まっていくことを願っています。

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