作文コンクール 
くらしの文集

 

3年生の作品

3年生  特選

生まれてきてよかった

波多見小 三年 高 上 太 暢

 ぼくは、(生まれてきてよかった。お母さんの子どもになれてよかった。)と、いつも思っています。ぼくは、ごはんを食べることができるし、わらったり、ないたりすることができます。お母さんは、毎日ぼくをぎゅうっとだきしめながら、
「お母さんの子どもになってくれてありがとう。太ようくんのことが大すきだよ。こんなにかわいい子はいないよ。」
と言ってくれます。ぼくは、しあわせです。
 ぼくには、八さい上のお姉ちゃんがいます。なんでこんなに年がはなれているのかふしぎだったので、お母さんに聞いてみました。すると、お母さんは、ぼくがどうやって生まれてきたのかをくわしく教えてくれました。
 お母さんは、赤ちゃんができにくい体だそうです。だから、お姉ちゃんが生まれるときもぼくが生まれるときも、赤ちゃんができるためのちりょうを長い時間をかけて、たくさんしたそうです。ぼくは、一まいのしゃしんを見せてもらいました。何なのか全く分からなかったのでお母さんに聞くと、
「これは、じゅせいらんというんだよ。この三つのたまごの中の一つが太ようくんなんだよ。二人にも生まれてきてほしかったけれど、太ようくんだけが生まれることができたんだよ。」
と、教えてくれました。それを聞いたしゅん間、心がきゅんとして、しぜんになみだが出てきました。会うことのできなかったぼくのきょうだいは、生まれてきたかったと思います。だからこそ、(ぼくいがいの二人の分もいっしょうけんめい生きたい)と思いました。お母さんが、ぼくを生んでくれなかったら、今のぼくはいません。
「ぼくを生んでくれてありがとう。」
と言うと、お母さんが、
「生まれてきてくれてありがとう。」
と言って、大つぶのなみだを流しながら、ぼくをだきしめてくれました。お母さんはとてもあたたかくて、心がまたきゅんとしました。
 ぼくは生まれてから一回だけ、お母さんにしかられたことがあります。お姉ちゃんに、
「どっかいけ。」
と言ってしまったからです。いつもは明るくて、ひまわりのようなえ顔のお母さんが、今まで見たことのない顔で言いました。
「いなくなっていい人は一人もおらん。その言葉の重みをよく考えなさい。」
そのときは、その言葉の重みがよく分からなかったけれど、今のぼくには分かります。
 ぼくの名前は「太よう」と言います。太陽のように、かがやいて生きてほしい、たくさんの人をてらし、しあわせを分けてあげることができる人になってほしいというねがいがこめられているそうです。ぼくは、このねがいのように、これからも生きていきます。
「生まれてきてよかった。」

自分が生きていること、生まれてきたことへの感謝の気もちが、作品全体から伝わってきました。
 自分が生まれたときの話を聞いたり、叱られたりしたことを通して、太ようくんの心が成長していく様子が、言葉豊かに描かれています。「ひまわりのようなえ顔」「心がきゅんと」などの言葉で、様子や気もちが上手に表現されています。
「生まれてきてよかった。」この気持ちを大切にして、素敵な名前に込められたねがいとともに、これからも成長してほしいと思います。

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