作文コンクール 
くらしの文集

 

3年生の作品

3年生  特選

おふろがきらい

阿賀小 三年 川 端 美 祐

 「早くおふろに入りなさい。」
 今日も、お母さんの大きな声が家中にひびきわたりました。
 わたしはおふろがきらいです。三年生になると、お母さんから、一人でおふろに入るように言われはじめました。わたしは、いつも
「いやだ。まだ入りたくない。」
と言い返します。
(おふろに入るのがめんどくさいな。)
と思う日もあるけれど、本当におふろがきらいな理由はべつにあるのです。
(本当は、おふろに入るのがいやなんじゃなくて、一人で入るのがいやなんだよ。お母さんと妹といっしょにおふろに入るときは、パズルきょうそうをしたり、水でっぽうでたいけつしたり、すごく楽しいのに。)
一人だと、少しさみしくて、おふろがこわく感じるのです。

 けれど、お母さんに、
「もう三年生なんだから。」
と言われると、さみしいとかこわいと思っているのを知られるのがはずかしくて、本当のことは言えなくなります。
(お母さんはきっと、わたしがめんどくさいからおふろがきらいだと思っているだろうな。)
 本当は、まだまだお母さんといっしょにおふろに入りたいけど、大人になっていくためには、一人で入れるようにならないといけません。そこで、わたしはどうしたらおふろに楽しく入れるようになるのか考えてみることにしました。
(たとえば、歌を歌ったり、えい語のれん習をしたりしたらどうかな。)
 それからわたしは、考えた作せんをやってみることにしました。一日目は、歌を歌ってみました。わたしが知っている曲をたくさん歌いました。二日目は、えい語のれん習をしました。学校のじゅぎょうで習ったことをれん習しました。三日目は、歌もえい語のれん習もりょうほうしました。
 すると、だんだんおふろに入るのが楽しくなってきました。一人だとこわかったおふろも、声を出すことでこわくなくなりました。おふろの中はよく声がひびくので、歌が上手くなった気分になりました。わたしの考えた作せんは大せいこうとなりました。
(これからは、お母さんに言われる前に、自分からおふろに入るようにしよう。自分からおふろに入れるようになったとき、本当はおふろがきらいなんじゃなくて、一人で入るのが少しこわくてさみしかったんだよ、とお母さんにつたえようかな。)
 そして、いつか、おふろが大すきと言えるようになりたいです。その日まで毎日作せんを続けるぞ。

「早くおふろに入りなさい。」という、誰もが一度は言われたことがあるだろう一文から始まります。
 めんどくさいという気持ちもあるけれど、実は淋しくてこわいんだという川端さんの気持ちや心の葛藤が、心内語を用いることで上手に表現されています。
 毎日、おふろが楽しくなる作戦を立て、チャレンジし、徐々に克服していく様子を、目に浮かべながら読み進めていくことができました。
 これからも、日常のちょっとした出来事に注目し、楽しみを見つけながら過ごしてほしいと思います。

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