作文コンクール 
くらしの文集

 

6年生の作品

6年生  特選

地域の人の笑顔が見たくて

蒲刈小 六年 小 寺 塑 良

「ふるさとを元気づけたい。」

 去年から、ぼくたち五・六年生は、地域活性化のために神楽を始めている。ぼくが住む上蒲刈島は、人口千八百人。近所のだれかが引っ越したという話を父母から聞く度に、これから蒲刈は本当にどうなるのかとぼくは不安になる。神楽を始めるきっかけは、蒲刈に住む人が少なくなっているという地域の人の悩みだ。

 五年生の時、総合的な学習の時間で蒲刈の祭りについて調べることになった。まず、各地区の祭りに携わっている地域の人に話を聞いた。

「祭りが続けられないかもしれない。」

やはり、祭りについても悩みは同じだった。向青年会では、一ヶ月も前から祭りの準備をするそうだ。

「祭りの日には、外に出て行った人にも帰ってきてほしい。」

「祭りは人と人がつながれる大切な行事。君たちにもその心を受け継いでほしい。」

青年会の方のふるさとを大切に思う気持ちに(青年会のようにぼくたちも協力して、蒲刈の町を元気にできないか。)と思った。

 その後、クラスのみんなで自分たちにできることはないか話し合った。

「向地区と宮盛地区でやっとる神楽をぼく達もやればええんじゃない。」

という案が出た。みんなもその案に納得して、やる気になっていた。その時、

「神楽は神楽でも、他の地域でやっとる新しい神楽をやったらいいと思う。」

思いがけない意見が出された。(そうだな。今やっている神楽をぼく達が受け継ぐという方法もあるけど、新しいものを取り入れてひろうする方法もあるなあ。)と思った。みんなも賛成し、そこから今やっている神楽への取り組みがスタートした。

 まず、他の地域にはどんな神楽があるのかを調べた。面、衣しょうを作る工房なども調べた。その結果、管沢さんと言われる方が営む工房に問い合わせてみることにした。

「ブルルル…。」

待っている間、とても緊張して身動き一つできなかった。

「もしもし、管沢面工房さんですか。蒲刈小学校五年の小寺と申します。」

 初めて会話したとき、ぼくの耳にはとても優しい声が入ってきた。ぼくは、面の値段や衣しょうのことなどを聞いた後、さらに、

「もし、神楽を教えていただけそうな神楽団を知っていたら、教えていただけますか。」

と聞いてみた。すると、管沢さんが、

「わしの所属しとる宮乃木神楽団で教えちゃろうか。」

と言ってくださった。ぼくは、思わず、

「本当ですか。ぜひ、お願いします。」

と答えていた。

 一月、初めて宮乃木神楽団が来校された。

「君たちも神楽の公演をして、地域の人を元気にしてあげんさい。」

管沢さんがそうおっしゃった。そして、ぼくたちの目の前で、神楽をひろうしてくださった。太鼓の音が響きわたる。

「ドンカカッカカッカドン。」

あまりの迫力に(ぼく達に本当にできるのだろうか。)と不安になった。それからは、マンツーマンでの舞の指導となった。

「基本の姿勢がこの姿勢。」

と一つ一つていねいにお手本を見せながら教えてくださった。ぼくは、その教えを頭に入れ、それからは毎日練習をした。画像を見て動きを研究し、音楽と舞を合わせ……。厳しいアドバイスも受けた。衣装や面は重く、肩や足がつらくなる。それでも(地域の人の笑顔がみたい。)と二ヶ月間必死で練習した。

 三月。いよいよ神楽の公演の日。学校の体育館には、たくさんの地域の人。ただただ、みんなが喜んでくれること。それだけを願って無心で舞った。

「パチパチパチパチ。」

 幕の向こうから大きな拍手が聞こえる。

「とても感動したよ。これからも蒲刈を元気にしてね。」

地域の人がそう言ってくれた。思わず友だちとハイタッチした。(やり切った。)その時の達成感は忘れられない。

 ぼくたちは、今、七月の県民の浜での公演に向けて日々練習を続けている。町外からも人が来て、ぼくらの神楽を見て、

「蒲刈はいい所よ。また来たいね。」

と広まっていき、蒲刈が元気になるようにと願っている。ぼくはこの神楽が蒲刈小の伝統となり、十年先、二十年先と残していけるようにがんばりたい。そして、ぼくの大好きな蒲刈がいつまでも残るように、みんなで蒲刈のこの神楽を守っていく。

上蒲刈島の人口が年々減少していることに悩む地域の人達のために何かできないかと考え、学校で神楽を発表することにした小寺くん。島の人の声を丁寧に聞いていくことで、その思いは高まっていきます。神楽の練習を始めて発表するまでの気持ちの高まりを、会話文や心内語を巧みに使って生き生きと表現しています。地域の人が喜んでくれることを切に願い、必死に練習に取り組む姿は、読み手を感動させます。神楽の発表を成功させ、大きな拍手をもらったとき、達成感に満ちあふれたことでしょう。「ふるさと大好き」の思いが蒲刈小の神楽を成長させていくことを願っています。

前のページに戻る

お問合せはこちら   もみじ銀行  経営管理部  電話:082-241-3043(平日午前9時~午後5時)

Copyright(C)  THE MOMIJI BANK, Ltd. All Rights Reserved.