作文コンクール 
くらしの文集

 

6年生の作品

6年生  「小さな親切」運動賞

君の支えになりたいんだ

長迫小 六年 関   淳 仁

 みんなはぼくのことを、
「冷静だね。」
と言う。(そうかな。けっこう情熱的に熱く燃える時もあるんだけどな。)と思う。みんなで盛り上がる行事も、実は大好きだ。特に運動会。四年生の二学期に長迫小学校に転校してきたぼくにとって、昨年の運動会は衝撃的だった。激しい長迫ソーラン、団長を中心にした笑いと迫力の応援団、驚いているうちに長迫小での初めての運動会は終わっていた。
 そして今年、ぼくは六年生になった。つまり、今年が小学校最後の運動会だ。最高学年として運動会をリードしていかなくてはならない。あの長迫ソーランも、応援団も、リーダーは六年生なのだ。その上、先生から信じられない言葉を聞いてしまった。
「今年の高学年の団体種目は騎馬戦です。」
ただでさえ不安なぼくに、さらなる不安要素が投入された。
 そんなぼくの気持ちをよそに、各種目のリーダーを決めるオーディションが次々と行われた。ソーラン隊長、応援団、友達が立候補していく中、ぼくはなかなか手を挙げることができなかった。長迫では二度目の運動会ということもあるが、第一にぼくは運動があまり得意ではないのだ。体も大きい方ではないし、小さいからといって素早く動ける訳でもない。(六年生だから、ぼくも何かに立候補しなくては。でも、こんなぼくがだれかを引っ張っていくなんて…。きっとみんなに迷惑をかけてしまい、自分もつらい思いをするにちがいない。)次々とリーダーに立候補する友達にはとても申し訳なかった。また、少し自分が情けなかった。
 そんなぼくに、とんでもない大役が回ってきた。身長順に組んでいく騎馬戦の組で、ぼくが大将騎のメンバーに選ばれてしまったのだ。ぼくの心にもくもくと雨雲のような不安が広がった。(ぼくが、大事な大将を支える役なんて。騎馬戦のこともよく分かってないんだぞ。人を乗せて、激しく戦うなんて、何だか怖いな。できるのかな。)考えれば考えるほど不安になる。しかし、選ばれたからにはやるしかない。ぼくは、覚悟を決めた。
 いよいよ騎馬戦の練習が始まった。やってみると、色々な発見があった。まず、大将が帽子を取りやすい位置を考えて、騎馬を動かさなければならないこと、次に周りから攻撃されないように常に全体を見なければならないことだ。ただやみくもに突っ込んでも勝てない。騎馬の先頭を担当する先導者を中心に、ぼくたちは何度も作戦をたてた。しかし、大きな不安があった。その先導者が両ひざを痛めていることだ。先頭は負担も大きい。とても痛そうで、ぼくは何度も後ろから苦しそうな顔を見た。先生に、
「ひざ痛そうだね。大丈夫。」
と何度聞かれても、彼は力強く、
「大丈夫です。」
と言うだけで、一度も泣き言を言ったことはなかった。そんな彼の顔を見ていると、ぼくの中の不安が吹き飛んでいった。(大将はもちろん、先導者もしっかり支えたい。そのためにぼくにできることは何だろう。)必死に考えた。(ぼくにできること…。冷静に周りを見て、状況を先導者に伝えることはできる。後は、大将が落ちないようにしっかりと手を組むことだ。少しでもぼくの力で大将を持ち上げれば、先導者の負担も減る。よし。これはやりきろう。)
 ぼくは、練習のたびにこの二つの目標を頑張った。汗で手がすべりそうになっても、歯を食いしばり、仲間達とお互いびちょびちょの手をしっかりにぎりしめた。
「右から敵が来てるよ。」
「了解。」
後方にも気を配り、常に周りの状況を伝えた。練習を重ねる度に、ぼくの不安は闘志に変わっていった。
 そして、ついに運動会の最後の競技、騎馬戦が始まった。ぼく達の騎馬は抜群の安定感で赤組を破り、一騎倒すたびに歓声が上がった。(いける。大将、みんな、頑張れ。)ぼくはもう、無我夢中で支え続けた。笛の音にハッと気がつくと、白組が勝っていた。みんな笑顔だ。仲間達もうれしそうだ。(やった。自分の役目を果たしきった。)この上ない達成感を感じた。そういえばぼくは、今まで運動会ではいつも、(足を引っ張ってごめん。)と後悔ばかりだった気がする。しかし、今年は違った。支えることができたからだ。役に立てたからだ。誰にでも何かの役目がある。ぼくはぼくの役目を果たすことができたのだ。
「君を支える。」という役目を…。
 運動会を終え、ぼく達は次なるプロジェクトに取り組んでいる。その総括リーダーはぼくだ。仲間の支えに感謝しながら、今、一生懸命にリーダーとしてみんなを支えている。

小学校最後の運動会。六年生として、応援団やソーラン節のリーダーに、立候補できなかった関君が騎馬戦の大将騎のメンバーに選ばれたことで、リーダーとしての気持ちが育っていきます。
 練習を通して、メンバーと関わる中で、自分の役割に気付き、変わっていく心の動きが心内語や情景描写を使って生き生きと表現されています。
 「友達を支える」という自分の役目を果たすことができ、大きな達成を味わうことができたことでしょう。「君の支えになりたいんだ」という題名が伝えたいことを明確に表しています。

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