作文コンクール 
くらしの文集

 

5年生の作品

5年生  特選

心がおどる感謝の言葉

昭和西小 五年 野 﨑 花 恋

(ああ。どうしようかな。)

 六月十八日は、父の日である。私は、今年初めて父にプレゼントをあげることにした。

 私は、高学年になって低学年の子たちにそうじの仕方や宿題のやり方などを教えることが多くなった。低学年の子たちからは、

「教えてくれてありがとう。」

という感謝の言葉をもらうことが多くなった。私は、

「いいよ。また分からなくなったら教えてあげるね。」

と言いながら(感謝されるって心がおどるような気持ちになるんだな。)と、考えていた。

 そういったことを高学年になって感じていた私は(お父さんにも心がおどるような気持ちを味わってもらいたい。私からお父さんに感しゃの言葉を伝えたい。)そう思うようになっていた。

 さて、そんなことをあれこれ考えているうちにあっという間に、六月十八日になってしまった。

「わあ。どうしよう。」

「どしたん。」

「何でもない。一人言。」

(あぶない。お父さんに気づかれるところだった。)私は、一人どきどきしながら、家族といっしょにスーパーへ向かった。

 スーパーに着くと、私は早くプレゼントを選びたいという気持ちがおさえ切れず、母にそっと、

「父の日のプレゼント、一人で買ってくる。」

そう言ってかけ出した。向かった先は、私が好きなお店。そこに行けば、きっと何かぴんとくる物があるはずだと思った。お店に入って目に飛びこんで来たのは丸い大きなお皿だった。

「これだ。」

 私は、思わず声に出してしまった。周りのお客さんからの視線が痛かった。しかし、そんなことをはずかしがっている場合ではない。私はお皿を選んで一目散にレジへと向かった。あせりとはずかしさとでばくばくしていた心ぞうが、いつの間にか落ち着いていた。そして考える余裕が生まれた。(そうだ。せっかくだからお皿で何かを食べてもらいたいな。)私は、父の大好きなドーナツを買いに走った。もうあまり時間がなかった。(最短ルートでドーナツの店に行くためには……。)人混みをすり抜けて、かき分けて目的のお店にたどり着いた。ここでも、また心ぞうがばくばくしていたが、これはさっきとは違うものだった。ちらっと時計を見た。(まだいける。)私は、通りかかったお店に入り、「和」と描かれたグラスを買った。

 買ったものを後ろ手にそっと隠しながら、私は家族と落ち合う約束の場所へと向かった。遠くからでも分かる父と母の姿。二人は私を待ってくれていた。(お父さんに気付かれませんように。)後ろに隠したプレゼントができるだけ小さくなるようにビニールぶくろをたぐりながら二人のもとへ走った。私が二人のそばに着くと、二人は目を見合わせてふふっと笑っていた。

 家に帰ると私は一目散に自分の部屋にかけ上がり、袋とマスキングテープでラッピングをした。ラッピングのイメージは帰りの車の中でシュミレーション済みだった。ここまでは順調だった。しかし、ここでまた大きなかべにぶつかってしまった。それは、どうやって父に渡すかということだ。今までプレゼントなんてしたことがないので、恥ずかしくて照れくさくて、どうにもいい渡し方が思い浮かばない。(ああ。もう。考えていても仕方がない。)ラッピングをしたプレゼントをむねに抱いて、そろりそろりと自分の部屋からリビングへ降りた。すると母が私に気付き、いたずらっぽい表情をうかべた。そして、ぼうのように突っ立っている私を見かねて、母が

「花恋。渡しんさい。」

と声をかけてくれた。私はその言葉に背中を押され、照れくさい気持ちを一生けん命ごまかしながら、

「お父さん。いつもありがとう。」

という感謝の言葉を伝えた。お父さんは、

「花恋は、やっぱりくれると思っとった。ありがとう。」

と言った。私と同じように照れくさい気持ちを一生けん命ごまかしているようだった。

「よし。じゃあ、さっそく使おうかな。」

父は照れくさいのをごまかすかのようにそう言って、お皿にドーナッツをのせて、グラスにビールをついで、ぐいっと一気に飲んだ。

 後日のこと。

「ねえ。お父さん。父の日の時、花恋からありがとうって言われて、心がおどるような気持ちになった。」

「ああ。なったよ。」

(大成功。)

高学年になって、低学年から感謝され、心がおどるような気持ちになった野﨑さんが、大好きなお父さんにも心がおどるような気持ちになってもらいたい、お父さんに感謝の気持ちを伝えたいと父の日のプレゼントを一生懸命考えて、渡すまでを描いた作文です。野﨑さんのどきどきが伝わってきます。そして、照れくさい気持ちをごまかしながらも、感謝の気持ちを伝えたところが、思春期の女の子のお父さんへの思いが上手く表現できています。お父さんの喜びが目に浮かぶようです。

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