作文コンクール 
くらしの文集

 

5年生の作品

5年生  特選

救える命

広小 五年 猪 野 真 央

「お母さん、犬かって。」
 私は、いつもこう言っています。私は犬が大好きです。ペットショップに行く度に、かわいい子犬を見て、
「犬ってかわいいなあ。いいなあ。かいたいなあ。」
そんな気持ちがすごく込み上がってきます。
 ある日、お母さんに誘われて、ある場所へ行きました。そこは動物愛護センターでした。お母さんは、
「ここはね、捨てられた犬や保護された犬が新しいかい主を待っている所よ。」
と教えてくれました。私がいつも見るペットショップの犬たちとはちがい、愛護センターの犬たちは人をこわがっているようでした。しばらく犬の様子を見ていると、しせつの人が来て、
「この子たちは、昨日保護された犬だから人間になれていないんよ。」
と教えてくれました。くわしく聞いてみると、保護された犬たちは、捨てられた母犬が山で産んだから人間を知らないそうです。母犬からもはなされ、犬たちはとても不安そうでした。わたしはおりの中に手を入れ、
「大丈夫だよ。」
と声をかけました。すると一匹の子犬が私の手のにおいをかごうとしていました。私は、お父さんの言葉、
「犬と仲良くなる時は、決して頭をなでたらいけんよ。手のこうを犬に近づけて、自分のにおいをかがせてあげるんよ。そしたら、においを覚えてくれて、仲良くしてくれるんよ。」
を思い出しました。私は、こしを低くして、犬と同じ目線になりました。そうすると、少しずつ安心してくれたようで、子犬のふるえが止まりました。
 私は保護されている犬たちのことが気になったので、調べることにしました。すると毎年多くの犬やねこが殺されていることを知りました。その事実を知って、私はとてもショックでした。
 私はただ犬が好き、犬がかわいいという理由だけで、
「犬をかいたい、かいたい。」
と言っていました。命の大切さなんて深く考えていなかったんだと、自分のことがはずかしくなりました。
 犬がかわいいからかったけれど、やっぱりかえないと簡単に捨てられてしまう事実なんて、全く知りませんでした。人間の都合で命がなくなってしまうのは、とても悲しいことでもあるし、私はとても腹が立ちます。
 調べる中でいいこともありました。二〇一五年には八万匹もの犬やねこが殺されていましたが、今ではだんだん減ってきているということと、広島県でもたくさんの人たちが犬やねこの殺処分ゼロを目指して保護活動に力を入れていることです。
 この事実を知り、お母さんから、
「もう一度、犬をかうことを考えてみて。」
と言われました。私は、自分なりに考えてみました。日中、お父さんとお母さんは仕事で、私と妹は学校に行っています。その間犬は一人ぼっちでさみしい思いをするから、犬をかうのは先にのばすことにしました。
 家族で話し合った結果、自分のことがちゃんと自分でできるようになり、犬を責任を持って世話ができるようになってからかうことにしました。かったはいいけれど途中かえなくなって捨てるのでは犬がかわいそうだからです。
 犬をはじめとする全ての動物は、人間と同じ大切な命です。おもちゃではありません。人間の都合で捨てたり、殺したりするのはゆるされることではないと思います。
 私はペットショップで売られている動物よりも、動物愛護センターでかい主を待っている犬たちを家族にむかえて、かわいがってあげたいと思います。また、いっぱい愛じょうを注いで幸せにしてあげたいです。
 私に今できることは少ないけれど、動物の保護につながるボランティア活動に積極的に参加したいと思います。
 私は、人間は二通りに分かれると思います。命を捨てる人間と命を助けてあげる人間です。私は命を捨てる人間ではなく、命を助けてあげられる人間になりたいです。そして、毎年一匹でも多くの犬やねこの命が救われることを祈っています。

犬が大好きで、犬が飼いたい猪野さんは、お母さんの誘いで動物愛護センターに足を運びます。そこで、動物たちの命を守る活動をしている人々の存在と、保護された動物たちの運命や人間のエゴで消えていく命の存在の両面を知ることになります。実際にその事実に触れることにより、よく考えるよう促すお母さんの深い愛。それに応えるように自己を振り返り決断をします。
 会話文や細かな描写などにより、猪野さんの成長や心情の変化が豊かに表現されています。将来の生き方や人間としてどうあるべきかを考える猪野さんの思慮深さや意志の強さに心を打たれる作品です。

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