作文コンクール 
くらしの文集

 

5年生の作品

5年生  「小さな親切」運動賞

つながる

安浦小 五年 小 林 志 織

「ヘアドネーションって何。」
 かみを切ろうかなやんでいた私に、「ヘアドネーション」というものを母がすすめてくれました。
 ヘアドネーションとは、小児がんなどでかみを失った子ども達に、ウィッグをおくる活動のことです。
 身近にウィッグを必要とする人がいないから、最初は初めて聞くその言葉に、正直戸まどっていました。そんな私に、母はなくなった祖母の話をしてくれました。
 私の祖母は、じんぞうの病気と長い間戦っていました。そんな祖母に、運良く「ドナー」といって、血液や体の一部分をくれる人が見つかりました。そして、祖母はじんぞうをもらうことができたそうです。
 病気が治った祖母は、
「自分は、どなたかに助けられた命。そのおん返しとして、もし自分が死んだときは、自分の体を使ってください。」
と、祖母自身が「ドナー」になることを決意したそうです。
 そんな祖母も、若くしてなくなってしまいました。祖母がなくなったときに、角まくを目の見えない人にあげることになりました。周りで反対する家族もいたそうですが、祖父は祖母の思いを大切にして、角まくをあげることを決めたそうです。祖母のおかげで、日本のどこかで、視力を取りもどした人がいる。だれかに助けてもらった祖母が、別のだれかを助けたのです。そんな祖母を母は心からそんけいしていて、母に、
「何か人の役に立つことを、進んでできるような人になりなさい。」
と教えられました。
(に合わなかったらどうしよう。)という不安があり、かみを切ろうかまよっていましたが、母の言葉に背中をおされ、かみを切る決心をしました。
 そして、いよいよかみを切る日が来ました。ヘアドネーションに協力してくださる美容院に行きました。今までは父にかみを切ってもらっていたので、美容院に行くのは生まれて初めての経験でした。だから、とてもきん張していました。その上、ばっさり切るのは六年ぶり。心ぞうのドキドキが止まりません。
 いすにすわると、ちゃんと切ってもらえるかという不安と、もう後もどりできないというあきらめのような、何とも言えない複雑な気持ちになっていました。ゴムでかみを六つに分けて、一つずつ束ねます。そして、ついに私のかみにハサミが入ります。
「ジョッキン。」
あっという間に時間は過ぎました。切る前はあんなにまよっていたのに、いざ切ってもらうと、すがすがしい気持ちでいっぱいでした。ふと、束ねられた自分のかみが目に入りました。
「えっ、これだけ。」
あまりの少なさに、正直おどろきました。
 家に帰って調べてみたら、一人分のウィッグを作るのに、約三十人分位のかみが必要だということが分かりました。私一人の力では、決してできないんだということに、あらためて気付きました。
 かみを切った二か月後、「認定証」という証明書のようなものが送られてきました。今までもらった表しょう状よりは小さかったけれど、幸せは何倍も大きかったです。
 今回私がしたことは、さ細なことかもしれません。でも、本来捨てられるはずのものでも、人の役に立ち、喜んでくれる人がいるということを知ることができました。
 もっとヘアドネーションの輪が世の中に広まって、病気の子ども達が、一人でも多くウィッグを付けて笑顔になってほしいです。そして、強い気持ちで病気と戦って、病気に勝ってほしいと思いました。
 わたしがかみを切ったころ、同じようにかみを切ろうかなやんでいる友達がいました。わたしがかみを切ったことで、その友達もかみを切ることに決めました。わたしがヘアドネーションをしたことを話すと、友達も切るならヘアドネーションをしたいと家族に相談して決めたそうです。わたしのした小さいことがきっかけで、友達にもヘアドネーションの輪が広がりました。私と友達で二人分。あと二十八人分で、一人の友達のウィッグができます。こうやっていろいろな人とつながっていくといいなと思っています。
 私のかみが、どこかの友達へとどきますように。そして、いつまでもその子とつながっていますように。そう願いながら、次の「だれか」のために、今日もかみをのばしています。

髪を切ろうか悩んでいた小林さんに、ヘアドネーションを勧めてくれたお母さん。初めて聞く言葉に正直戸惑いを覚えます。ドナーから腎臓をもらい助けられたおばあさん、そのおばあさんもまた、自らドナーとなり誰かの命を助けた事実をお母さんから教えてもらいます。人の役に立つことの大切さを受け継いできた家族の思いを知り、ヘアドネーションに挑戦する小林さん。等身大の小林さんの精一杯の努力が読み手を感動させます。そんな小林さんの思いが友達にも広がっていきます。家族がつないだ思いや命を未来につなげようとする姿に希望を感じる作品です。

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