作文コンクール 
くらしの文集

 

5年生の作品

5年生  もみじ銀行賞

原お守り隊

原小 五年 山 下 夢 月

 災害のおそろしさをこんなふうに感じることになるなんて、去年までの私は、全く想像していなかった。
 西日本ごう雨災害。雨が一番ひどいときに、消防士の父に、きんむ先の安浦出張所から電話がかかってきた。それから、父は出きんし、四日間帰って来なかった。
 雨が上がると、私が住んでいる原の地域でも断水が続き、中学生の姉は、小学校のプールの給水ボランティアに出かけた。私もボランティアをして、被災された人たちの役に立ちたいと思った。小学生でもボランティアができることが分かって、母と私で天応に行くことにした。
 私は、土砂を運ぶ作業をした。暑くて、たくさんのあせがふいてもふいても出てきた。一往復しただけで、ペットボトル半分を飲みほすくらいだった。一回休んだらつかれて動けなかった。
(天応に住んでいる人は、もっと大変なんだから、がんばらなきゃ。)
 大人の方に応えんしてもらったり、台車のタイヤが土にはまったら持ち上げてもらったり……。被災した地域の人を助けるという思いが一つになって、ボランティアの人同士も協力をしていることがよく分かった。天応は、まだまだ土砂がたくさんあって、作業に多くの時間と人の手がいる。
 災害は、こんなにも大きな力で、人々の生活をはかいするのだ。おそろしい災害から命を守るために今の私たちができることは……。
 原小学校では、四年生になると、総合的な学習の時間に、防災について学習する。私たちは、「原お守り隊」として活動した。この名前には、「原を災害から守りたい」「原のみんなを安心させたい」「原のお守りになる」という思いをこめている。
 去年の春、五年生から、前の年にどんなことをしたのか教えてもらった。
「まず、防災という視点から原のまちがどんな地域なのか知ることが大切だよ。」
 そこで、私たちも、五年生から教えていただいた呉工業高等専門学校の教授と学生さんにお願いして、調査の仕方を教えてもらった。
 調査開始。四つのグループに分かれて、原の危険なところやひなん場所をさがした。みんなで見て歩くと、原のまちには、大雨がふると危険な川やがけ、山がたくさんあることが分かった。それに、なんと原地区は、土石流警戒区域に指定されていることも分かった。
(絶対地域の人に伝えなければいけない!)
 みんなで作った防災マップをどうすれば地域の人に見てもらえるか話し合った。いろいろな意見が出た。ポスター、リーフレット、パンフレット……。一人の友だちの意見でみんなの意見がまとまった。
「カレンダーがいいと思います。わけは、一年中見られるからです。」
私も賛成した。
(確かに。カレンダーなら毎日見ることで、危険なところも分かるし、防災意識を高めてもらうこともできる。)
「いっしょに守ろう みんなの命」というすばらしいキャッチフレーズも決まった。
「防災マップ以外に、ふだんから備えておくものとかも書いたらいいんじゃない。」
「家族がばらばらになったときの連らく方法とかもあったらいいと思うよ。」
みんなで意見を出し合い協力しながら一生けん命防災カレンダーを作った。
 いよいよ、地域の方にカレンダーを配る日が来た。わたしは、少しどきどきしながら、
「日頃から災害に備えられるように、私たちが作った防災カレンダーです。よく分かるように絵もかきました。見えるところにはっておいてください。」
と言って手わたした。受け取ってくださったお年寄りの方はにこにこしながら、
「ありがとう。よく見えるところにはるね。」
と言われた。とてもうれしかった。作ってよかった、配ってよかったと思った。
 今回のごう雨災害で、被災の様子や大変な思いをされている方の話などをテレビで見るたびに、私はとても悲しい気持ちになる。
 今回ひなんかんこくが出されたとき、私は、ひなんするときに注意することを家族に伝えられた。逃げるときは長ぐつではなくひもぐつにすること、川からはなれて歩くことなど。四年生で学習したことはどれも、命を守るのにとても大切なことだったと改めて気づいた。五年生の私には、大きなことはできないけれど、まずはこれからも進んで防災について学ぶこと、地域の人や少しでもたくさんの人に学んだこと伝えることをがんばっていきたい。
 防災カレンダーを配ったときに見た、地域の方の笑顔がなくならないように。

七月に起こった西日本豪雨災害。山下さんはボランティアとして活動することで、被災者の方の思いやボランティアの方々の思いに気付きます。そしてボランティア活動を通して、山下さんは、四年生で学習した「原お守り隊」の学習を振り返っていきます。学びを生かし家族と一緒に命を守る行動をした山下さん。西日本豪雨での体験から、四年生の防災の学習で学んだことを振り返り、今後、自分に何ができるのか考えていくという現在・過去を行き来する構成の工夫は読者を引き付けます。自分や家族、地域の方の笑顔を守っていこうとする山下さんの思いがつまったすばらしい作品です。

前のページに戻る

お問合せはこちら   もみじ銀行  経営管理部  電話:082-241-3043(平日午前9時~午後5時)

Copyright(C)  THE MOMIJI BANK, Ltd. All Rights Reserved.