作文コンクール 
くらしの文集

 

4年生の作品

4年生  特選

わたしのたからもの

安浦小 四年 梅 野 真 悠

「おはよう。」
 朝起きて着がえたらメダカにえさをやる。それがわたしの朝の仕事だ。わたしの家では、メダカを四ひきかっている。黒、白、オレンジ、茶色のきれいなメダカだ。初めは六ぴきいたけど、そのうちの二ひきはもう死んでしまった。悲しかった。今は四ひきだけど、その四ひきがたからもの。
 毎朝えさを一つまみ取ってメダカにあげる。メダカたちは、とってもおいしそうに口をぱくぱくさせながらえさを食べている。わたしが水そうのふたを開けると、水の上の方にメダカたちがよってくるのが、わたしは大好きでたまらない。かわいいなあ。ずっと見ていたい。
 メダカをかい始めて数週間。わたしが、いつものようにメダカにえさをあげようとしたそのとき、
「何これ。」
わたしは、声を出した。何しろ、オレンジ色のメダカのおなかの下に、とう明で丸い、つぶつぶしたものが付いていたのだから。お母さんとお父さんに聞いてみると、
「ああ、これはメダカのたまごじゃね。」
と言った。わたしは、
「ええ。」
とびっくりした。(これがたまご。この中から赤ちゃんが生まれるの。)不思議な気持ちでいっぱいだった。なのに、メダカは何にも付いてませんよ、と言っているみたいにすいすい泳いでいる。
「ふふっ。」
思わず笑ってしまう。たまごに気が付いていないのかなあという気持ちと、早く赤ちゃん生まれないかなという気持ちが、心の中でくり返されている。メダカを見て、こんなにわくわくしたのは初めてだった。それからわたしは、メダカにえさをやるのがとっても楽しみになった。だって、見るたびにいろいろな発見があるからだ。例えば、(あ、この子、おなかにたまご付いている。)とか(あの子、よく他の仲間といっしょにいるな。)とか。他にもいろいろある。それがわたしの、毎朝の楽しみ。
 たまごを見付けて約一週間のこと。
「あれ。たまごがない。」
ひやひやした。今までたまごが付いていたメダカたちのおなかから、たまごが消えていた。わたしがあせっていると、
「水草にたまごを生みつけたんじゃない。」
とお母さんが教えてくれた。わたしは水草を見つめた。でも、たまごは見付からない。すると横から、
「ほら。ここにあったよ、たまご。」
とお父さんが指を差して言った。妹も、
「本当だ。」
とよろこんで言った。わたしもうれしくなった。本当に小さなたまごが水草に付いていた。今にも水草から落ちそうだけどちゃんとある。
 一カ月後、水そうのそうじをするとき、黒くなっていた水草を新しい水草とかえることになった。古い水草はたまごが付いているから、し育ケースに入れかえた。わたしはそのときも、(赤ちゃんが生まれますように。)と願っていた。
 次の日、学校から帰ってし育ケースの中をのぞくと、なんとメダカの赤ちゃんが五ひき生まれていた。その次の日には約十ぴきとどんどんふえていった。わたしはとってもとってもうれしかった。だって新しい命がたくさんふえたから。小さいのに細かく体を動かしながら一生けん命泳いでいる。でもまだ、大人のメダカたちと泳ぐのは早いみたい。早くいっしょに泳ぐすがたを見たいなあ。
 わたしはこれからもメダカを大切に育てたいと思う。そして、また、新しい命をふやし、つないでいきたい。この思いを大切にしていきたい。そう思っている。

家で飼っているたからもののメダカたち。そのメダカたちへの梅野さんの愛情が描写からひしひしと伝わり、心が癒されます。
 突然メダカのおなかに現れたつぶつぶしたとう明のたまご。「メダカは何にも付いていませんよ、と言っているみたいにすいすい泳いでいる」というメダカの姿を「ふふっ。」とほほえむ描写や「ふたを開けると水の上の方にメダカがよってくるのがわたしは大好きでたまらない」などの描き方からも水そうの前でにこにこメダカたちを見守る梅野さんの姿が目に浮かんできます。
 今回出会えた命のきせきを大切に。これからもたくさんの愛をつないでいってくださいね。

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