作文コンクール 
くらしの文集

 

4年生の作品

4年生  特選

負けてたまるか

安浦小 四年 片 山 幸 翼

「パーン。」

 ピストルの音が校ていにひびきわたった。それと同時に、ぼくの心ぞうもとび出しそうになったが、前をしっかりと見て走り始めた。

 今日は、待ちに待った運動会。楽しみだけど、ぼくにとってはどきどきする日だ。ぼくには、二年連続で同じ組で短きょり走をする人がいる。それは、とっても仲のよい友だちであり、ライバルでもあるはじめ君だ。スピードを出してカーブを上手にまがることができ、まるでりく上選手だ。でも、ぼくは足には自信がある。野球できたえた足だ。ぼくだって、はじめ君みたいに、スピードにのれば速く走れる。二つの小学校がとう合されて一しょの学校になり、去年の運動会で、はじめ君と初めて一しょに走った。結果は、はじめ君が一位でぼくが二位だった。

(今年こそぜったいに勝ってやる。)

と心の中で思っていた。

 スタートすると同時に、ぼくは一生けん命にうでをふり、風を切って走った。でも、目の前にいるはじめ君とのきょりはなかなかちぢまらない。

(よし、ここからぬくぞ。)

カーブにさしかかった所でぼくは思った。ここでスピードを出せば、はじめ君をぬくことが出来そうだ。そのしゅん間、まわりのみんなからの声が耳に入ってきた。

「はじめ、がんばれ。」

「こうすけ、がんばれ。」

ぼくはとにかくひっ死だった。手をすばやくふって、歯をくいしばって走った。ビュンビュンと風を切って走った。みんなの応えんが一しゅん聞こえなくなった。

(はじめ君に勝つんだ。ぜったいにはじめ君をぬいて、一位になるんだ。)

目の前にゴールがせまり、とにかく今までい上に力いっぱい足を動かした。すると、

「ダッ、ダッ。」

という足音が遠のいていく気がした。

(やばい。引きはなされていく。)

心の中でそう思うと、さらに力をぐっと入れて地面をけり、無が夢中でゴールテープだけを目がけて思いっきり走った。そして、ゴールにつっこんだ。ぼくは力を出し切り、全力で走り切った。

 決勝係の人が、せ中をおしながら言った。

「きみ、二位ね。」

「一位は、だれ。」

すかさずぼくは聞いた。

「一位は、はじめ。」

その言葉を聞いて、

(くそっ、負けた。)

くやしい気持ちのまま、ぼくは「2」と書かれた旗の所へすわった。はじめ君は、「1」と書かれた旗の所に、うれしそうにすわっていた。ぼくは、はじめ君に

「やっぱり速いね。」

と言った。するとはじめ君が、

「うん。」

と言った。そのとき

(来年こそ、ぜっ対に勝ってやる。そして、はじめ君に、こうすけ、速くなったねと言わせてみせる。)

と思った。

 ぼくの四年生の短きょり走は、くやしさいっぱいで終わった。でも、これほど(負けたくない。がんばるぞ。)という気持ちをもったことは今までなかったことだ。そのとき、

(ライバルがいるからがんばれる。ライバルっておもしろいな。)

と心の中で思った。

(はじめ君ありがとう。来年もまたいっしょに走ろうね。でも、来年はぼくが一位になるようにがんばるよ。負けてたまるか。)

今日もぼくは、走っている。

ライバルのはじめ君とのせめぎ合いが臨場感豊かに表現されています。「風を切って走った。」「ゴールにつっこんだ。」などの豊かな情景描写がこの作品を生き生きとしたものにしています。「まわりの応援の声が一しゅん聞こえなくなった。」という表現から、どれだけ片山君がライバルのはじめ君との勝負の世界に入りこんでいったかがうかがえます。ライバルがいるからこそ本気になってがんばれるという片山君の熱い思いがしっかりと伝わってくる作品です。

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