作文コンクール 
くらしの文集

 

4年生の作品

4年生  「小さな親切」運動賞

ウグイスが鳴くころ

仁方小 四年 藤 原 伶 夏

「ホーホケキョ。」
 庭でウグイスが鳴き始めると、わが家の家庭菜園がスタートします。庭にある長さ三メートル、はば三メートルほどの畑で、私はお母さんと小学生になる前から、野菜を育ててきました。しかし畑は、何も植えていない冬の間に土は固く、ざっ草がぎっしりと生えていました。わが家の野菜作りは、まずこのざっ草をぬくことから始まります。
「ざっ草がすごいね。」
 お母さんが、ざっ草の量にびっくりしていました。でもやる気いっぱいのお母さんです。
 くわを使って土をほぐして、ざっ草を根っこから一つずつとっていきます。しゃがんでいると暑さで体はべたべたするし、大変な作業です。私はがんばってざっ草をとっていきましたが、畑全体を見ると、ざっ草がさっきからへっていない感じがしました。わたしは、だんだんとたいぎくなってきました。
「もうちょっとだ。がんばろう。」
 終わりの見えない作業に、私の心は何度もぽきっと折れそうになりました。一週間後には、ひりょうもやらなくてはなりません。考えただけで、いやになってきた私は、ざっ草をあせを流してぬき続けているお母さんのそばへ行き、小さな声で
「お母さん、今年はトマトもキュウリも枝豆も植えなくてもいいよ。もう終わろうよ。」
と言いました。するとお母さんは、
「本当に大変だよね。だけどね。がんばればおいしいトマトもキュウリも枝豆も食べられるんだよ。でも伶夏がしんどいのなら、今年は何も植えないでおこうかね。」
と少し悲しそうにこたえました。この言葉を聞いて、私は昨年の夏に食べたまっ赤なトマトの味、キュウリのシャキシャキとした食感、枝豆の甘さを思い出しました。そして、さっき言ってしまった言葉を取り消したい思いになりました。
(やっぱり食べたい。野菜作りはわが家の行事だもん。野菜を食べるみんなの笑顔が見たいな。)
 そう思うとあれほどいやだった作業への気持ちも少し軽くなり、草ぬきをやり切ることができました。
 一週間後。土にひりょうをやり、さらにその一週間後には、トマトとキュウリと枝豆の苗を植えました。苗には葉っぱが少しついてはいましたがまだまだ小さな苗でした。
(この小さな苗たちが本当に実をつけてくれるのかな。しっかりと育つように、天気のいい日には水をたっぷりとあげよう。)
と私は心に決めました。
 ある日、苗たちに水をあげていると
「ホーホケキョ(よくがんばったね。きっとおいしい実になるからもう少し待っていてね)。」
とウグイスが言ってくれているような気がしました。私は、苗たちにおいしい実をつけてもらうために、天気に応じてあげる水の量を変えたり、分け芽をとったり、たおれないように支柱を立てたりしました。
 そして今、私の畑の野菜たちはすくすくと育っています。畑のトマトも黄色くなり、枝豆は青い小さな実をつけています。キュウリはすでに五本しゅうかくしました。まっすぐだったり、曲がっていたり、いろいろな大きさや形のあるキュウリを見つけたとき、私は
「ここまで育ててきてよかったな。」
とキュウリの前でにこりと笑いました。お母さんとキュウリをすのものにして、家族で食べました。シャキシャキした食感はスーパーで買うものよりもおいしく感じました。
「上手にできたね。去年よりもおいしいよ。」
と、お父さんはたくさん食べてくれました。
「ほらね。今年も育ててよかったでしょ。」
と、お母さんも言ってくれました。
 来年も絶対に野菜を育てたいです。

 「ホーホケキョ。」というウグイスの鳴き声から始まり、読み手の心を引き付ける作品です。ウグイスが鳴くころから始まる家庭菜園の作業は、とても大変です。一度はお母さんに「もう終わろう。」と言ってしまう藤原さんですが、お母さんの悲しそうな言葉を聞いたり、収穫の喜びを思い出したりして、再び野菜作りに取り組みます。
 心情の変化や野菜に対する思いが素直に表現されており、「わが家の行事」を大切にしている藤原さんの気持ちが伝わってきます。
 来年は、どんな野菜ができるのか楽しみです。

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