作文コンクール 
くらしの文集

 

4年生の作品

4年生  中国新聞社賞

火の用心

郷原小 四年 財 部 蒼 士

「城山にいっしょに登らん。」
 空手の友達に、そう声をかけられた。その言葉を聞いたしゅん間、ぼくは、心がはずんだ。その理由は、ぼくのおじいちゃんが、城山にある岩の「火の用心」という字のぬりかえ作業に、二年前に参加し、ぼくも城山に行ってみたいと思っていたからだ。
 ごう原にある城山の頂上にある岩には、火の用心と書いてある。ぼくは、生まれてから当たり前のようにその字を毎日見ていたけれど、いったいだれが書いたのかなと思っていた。四年生になって、そう合的な学習の時間に、城山のことを勉強することになった。城山のことを調べてくるという宿題が出たのでお母さんに相談すると、
「じいじに聞いてみんさい。」
と言われ、ぼくはおじいちゃんに話を聞いた。
 ぼくが、二年生のときに三十年ぶりに火の用心の字をぬりかえることになった。ぼくの家から城山は遠いけれど、その作業をする様子をぼくは、家から見ていた。小さな人かげがたくさん見えたのを覚えている。
 おじいちゃんに、
「どうしてぬりかえに参加したん。」
と聞くと
「火の用心は、ごう原のシンボルなのに、色がうすくなってきたけん、じいじ達が元気なうちにぬりかえようってことになったんよ。」
と言った。雨がふってきたので、ペンキが流れそうになったり、命づなにぶら下がってぬっている人が落ちないように気をつけたりしたことが大変だったと話してくれた。
「終わった時どう思った。」
と聞くと
「みんなの力で火の用心をまたきれいにできて、やり切ったなと思ってうれしかったよ。」
と、おじいちゃんが、にこにこしながら言った。ぼくは、おじいちゃんがかっこいいと思った。火の用心のぬりかえに参加したこともそうだけど、ごう原のために、協力し合える友達がたくさんいることがかっこいいなと思った。
 ぼくは、おじいちゃん達がぬりかえた火の用心を見に、城山に登りたいと思った。だから、友達といっしょに城山に登ることになって、とてもうれしかった。その日は、とてもいい天気だった。空手道場の仲間や先生やお母さんやお父さん、大勢で火の用心を目指して登った。その道のりは、段差が高くて登りにくかったり、落ち葉があってすべったり、道に山水が流れていたりとたやすいものではなかった。おじいちゃん達が登ったときは、雨がふっていたので、もっと山道がぐちゃぐちゃだったろうなと思った。(暑いし、足がいたくなるし、頂上までとても登れそうにない。)と思ったけど、おじいちゃん達はペンキや重たい道具をかついで登ったんだと思うと、泣き言が言えないなと思った。それに、
「もうちょっとよ。がんばれ。」
とはげましてくれる友達が、ぼくにもいた。だから、一歩一歩歯を食いしばって登った。
 少しずつ、おおわれていた木がなくなり、ぼくたちの町を見下ろせるようになってきた。そして、ようやく頂上についた。上を見ると青空しかなかった。すると、空手の先生が、
「火の用心はこっちにあるよ。」
と言ったので、みんなで火の用心が見える方に行ってみた。火の用心が見える岩の上に立つと、あまりの高さに足ががくがくした。岩にねそべってたしかめると、とても大きく火の用心が書いてあった。やっと、見ることができた。おじいちゃんが、この字を書いたんだと思うと、感動した。そして、こう思った。おじいちゃん、三十年後には、ぼくがぼくの友達とぬりかえるからね。そのときは、ぜっ対家から見ていてね。

 城山に登りながら、雨の中、重い荷物を持って仲間と一緒に山に登ったおじいちゃんの話を思い出し、自分も弱音をはかずに頂上を目指そうという財部君の気持ちが、素直に力強い表現で描かれています。おじいちゃんの思いと、自分の思いを重ね合わせた感受性豊かな表現がすばらしいです。
 地域のために、仲間とともに一つのことを成しとげたおじいちゃんの思いを受け継いでいこうという、強い信念を感じる作品です。
 ぜひ、友達と「火の用心」の文字のぬりかえを達成して下さい。

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