作文コンクール 
くらしの文集

 

3年生の作品

3年生  中国新聞社賞

はじめての音楽朝会

吉浦小 三年 早 川 いち果

「今日は音楽朝会があるので、体育館に行きましょう。」
 朝、先生がそう言っているのを聞いて、(音楽朝会って何をするんだろう。)と思った。友達に聞いてみたけれど、これまで音楽朝会をしたことがないので、だれも何をするのか分からない。わたしは音楽が大すきなので、わくわくしながらろう下にならんだ。(歌をきいたり、歌ったりするのかな。)どきどきしながら体育館へ入った。いつものならび方とちがって、みんなが向かい合うようにならんでいる。
 わたしたち三年生の前には一年生、横に五年生や六年生が見える。わたしは一番前なので、きんちょうしてきた。
「これから音楽朝会を始めます。」
 全校のみんなが向かい合ってあいさつすることもはじめてなので、ますますきんちょうする。
「今日は運動会で歌う『ゴーゴーゴー』をれん習します。」
と言われて、
「やったあ。」
と何人かの声があちらこちらから聞こえた。(みんなもこの歌はうれしいんだ。)とわたしもえ顔になった。(クラスで練習するときもみんな大きな声で元気よく歌っているけれど、全校で歌うとどうなるんだろう。)わくわくしてきた。
 ピアノのえんそうが始まり、(さあ、歌うぞ)と思ったら、出だしがCDとちがうので、みんな歌い始めがバラバラになってしまった。
「ストップ。今日はピアノだから、ピアノに合わせて、よく聞いてね。」
と言われて、(ピアノなんだ。ピアノに合わせることができるのかな。)と不安になった。
 先生の手をじっと見た。ピアノのばんそうが始まった。気を引きしめて、息をすった。
「ぼくらは、かがやく。」
 大きく口を開けて声を出した。自分の声がみんなの声にまざって消されそうになるほどすごい声だ。目の前の小さな一年生も大きな口を開けて一生けんめいに歌っている。白組はもっと大きな声だ。わたしは赤組なので、赤組と白組が一しょに歌うとき、今までにないくらい大きく息をすった。思わず体が自然に動く。みんなが同じリズムで一つになった気がした。少しずつなれてくると、いろいろな学年の声が聞こえてくる。一年生や二年生は元気もりもり。四年生、五年生はみんなそろっていてかっこいい。六年生は高音がひびいて、きれいな声だ。(いつか六年生みたいなきれいな声で歌いたいな。)と思った。
 音楽朝会が終わって、友達に、
「音楽朝会、楽しかったね。」
と言った。次の音楽朝会はいつだろう。朝から元気になれる音楽朝会がまちどおしい。

初めての音楽朝会でのわくわくした気持ちや、全校の歌声が一つになっていく過程が、言葉巧みに丁寧に描かれ、ひきこまれました。
 特に、バラバラになった歌い出しを揃えるところからの描写は、目や耳、心で感じたことが順序よく、素直に表現されていて、まるで、その場にいるような感覚で読み進めることができました。
 コロナ禍では、できなかった音楽朝会。全校で歌う喜びを感じた早川さんが、他学年の良さを見付けているところも素敵でした。次の音楽朝会では、何を歌うだろう。楽しみですね。

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