作文コンクール 
くらしの文集

 

2年生の作品

2年生  特選

みどりのまほうのじゅうたん

郷原小 二年 飯 崎 依 古

「グルングルン、グルルルル。」
 田うえきの音がします。おじいちゃんがエンジンをかけました。今日は家ぞくみんなの田うえの日です。わたしは朝五時二十分におきました。おじいちゃんがきかいをうごかして、田うえをするのをわたしはじいっと見ていました。大きなきかいなので、田んぼのはしっこをまがる時はとっても重そうです。
「おじいちゃん、がんばって。」
と言うと、おじいちゃんはえがおでとってもよろこんで手をふっていました。わたしもくつとくつ下をぬいで田んぼに足を入れました。
 ぺちゃっ。ずぶずぶ。土がぬるぬるして気もちわるいと思ったけど、だんだん足がひんやりしてすずしくなってきました。
 右手の人さしゆびと中ゆびでなえをはさみます。手のひらぐらいの長さのなえの下からは、ねがたくさん生えていました。
「大きくなってほしいなあ。」
と思いながら、一かしょずつていねいにどろをよせてうえていきました。何回も何回もうえました。と中で足がぬけなくてころびそうになったり、ずっとあるきながら下のほうばかり見ていたので、もとのしせいにもどろうとしたら、「ポキッ」と、ほねの音がしたりしました。(むかしはきかいがなかったので大へんだったんだな。)と思いました。
 朝早くからはじめて、三つの田んぼの田うえが全ぶおわったのは三時すぎでした。
 うえおわった田んぼに風がふいたら、いねといねがぶつかって、シャラシャラと音がしました。田んぼのいねがゆれて、(空とぶまほうのじゅうたんみたいだな。)と思いました。みどり色のじゅうたんは、今からもっと、こいみどり色になります。
 秋には、金色のじゅうたんみたいになって、ぶじにおこめがせいちょうして、いねかりをするのがたのしみです。

ひょう

「みどりのまほうのじゅうたん」という題名から展開される、おじいちゃんとの田植えの光景が目に浮かんできます。「ぺちゃっ」や「ぬるぬる」など、様子を表す言葉を効果的に用いることで田植えは決して簡単な作業ではなく、機械のなかった時代の大変さにも触れているところに飯崎さんの経験を通してこそ分かる心の成長を受け取ることができます。
 今は「みどり色のじゅうたん」が秋には、「金色のじゅうたん」へと変わり、また家族みんなで稲刈りをする日が待ち遠しいですね。
 成長を温かく見守る飯崎さんの気持ちは、きっと、お米にも届くでしょう。

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